JediにAutoCompleよりCompanyModeを優先させる

2ヶ月前にCarbon EmacsのPython環境を整備したばかりなのだが、MacのOSを10.7.5から10.12.4にバージョンアップすると、Carbon Emacsがまともに動かなくなってしまった。起動はするのだが、すぐに固まってしまう。しかも、その後distnotedというプロセスが全てのCPUを奪い続けて、Macが激重になる。
この現象はOS X 10.9+Emacs 24.3で起こるらしく、Carbon Emacs(Emacs 22)でも起こったという情報は見つけられなかったが、おそらく同じ問題である。どちらかと言うとOSのバグなのだが、現時点ではEmacsを24.4以降にバージョンアップする以外に解決方法が見当たらない。

その為、長年お世話になったCarbon Emacsを手放し、Emacsの最新版である25.2を使うことにした。

EmacsWikiのPython Programming In EmacsのページにはPythonの開発環境を便利にする方法が色々書かれているが、筆者は高機能なPythonの開発環境を使いたい時はSpyderを使っており、EmacsのPython環境はPython.elでPython3が使えて、もう少し便利な補完が効けば十分なので、Jediだけを追加インストールすることにした。

Emacs 25.2にbuilt-inのPython.elはPython3に対応しているのだが、MacPortsでpython35をインストールして、M-x customize-group -> pythonして"Python Shell Interpreter"をpython3にすると、Warningが出まくり、妙に不安定だった。M-x list-packagesしてpython packageを0.25.2にバージョンアップすると少し改善したが、完全には直らなかった。
さらに、Jediをインストールすると、これまた不安定で、時々補完候補が出る前にEmacsが固まった。(C-gで抜けることはできる)

Emacs 24の最新版である24.5.1ではこの問題は起こらなかったので、当面、EmacsでPythonのコードを書く時は24.5.1を使うことにした。

Jediのインストールは、

(require 'package)
(add-to-list 'package-archives '("melpa" . "https://melpa.org/packages/"))
(package-initialize)
としてpackage.elにMELPAのリポジトリを登録し、M-x list-packagesしてjediをインストールし、Jedi.elのドキュメントに従ってセットアップした。

なお、Emacs25でjediをインストールすると、Emacs24で"Symbol's function is void: cl-struct-define"というエラーになった。これはjediに限らず、よくあることだそうで、Emacsの24と25を併用する場合、package.elで何かをインストールするならEmacs24でする方が良さそうだ。

さて、JediはAutoCompleteとCompanyModeの両方に対応しているが、package.elで"jedi"をインストールするとAutoCompleteが使われる。"company-jedi"をインストールするとCompanyModeが使われるのだが、"jedi"と"company-jedi"の両方をインストールすると、AutoCompleteが優先される。特にAutoCompleteに不満は無く、和製なので贔屓したいが、色々読んでいると、世界的には、日本でも現在は、CompanyModeの方が人気があるようなので、何が良いのかを知るために、これからしばらくはCompanyModeを積極的に使うべく、両方をインストールしてCompanyModeをデフォルトにすることに決めた。

しかし、.emacsや.emacs.d/init.elでCompanyModeを優先する適当な方法がわからなかった。Python modeにしてM-x auto-complete-modeとすればAutoCompleteのON/OFFが切り替わり、OFFだとCompanyModeが使われるのだが、Emacs Lispで(auto-complete-mode)としてもON/OFFが切り替わらず、auto-complete-mode関数にはOFFにする引数も無いのである。auto-complete-mode関数のソースコードを見ると、"(if auto-complete-mode ..."とあるので、

(setq auto-complete-mode nil)
(auto-complete-mode)
とすれば良さそうに思ったが、これでもOFFにならない。
但し、(setq auto-complete-mode nil)すると、即座にAutoCompleteがOFFになる。このことを使って、試行錯誤の末、.emacs等に
(add-hook 'python-mode-hook 'jedi:setup)
よりも前のどこかに
(add-hook 'python-mode-hook
(lambda () (setq auto-complete-mode nil)))
と書けば、Python mode開始時にAutoCompleteがOFFになり、CompanyModeが使われることがわかった。


Jediのソースコードを見る限りは、CompanyModeで起動するならJedi.elをアンインストールするのが意図のように思える。Jediを使う上ではAutoCompleteとCompanyModeを併用する意味は無いということだろう。

今年のGWは、Mac OSのバージョンアップで完全に潰れてしまった。しかも環境の復旧はEmacsに限らずトラブル続きで、まだ半分も終わっていない。こういうことになるから、OSのバージョンアップはできるだけ避けてきたのである。
今回は、OSが古すぎて、壊れて買い換えたプリンターのドライバーが対応してなかったのと、Safariが古すぎてGoogle Mapやよく使う通販サイトやEmacsWikiなど、いくつものWebページがまともに動かなくなってしまったので、仕方なく決意した。Mac OSもSafariも、新たなバージョンさえ出なければこんな苦労をしなくて済んだのに、と思ってしまう。

年末に「Emacsは衰退しました」という記事を目にしてから、もし本当にEmacsが使えなくなったらどうしよう、と時々思っていた。筆者はEmacs以外のテキストエディターをまともに使えないし、指が勝手にEmacsの操作をするので、Emacsが無いと作業効率が半分以下になってしまう。
今回、Carbon Emacsが動かなくなって、遂にその時が来てしまったかと思ったが、最新のEmacsは動作して良かった。これを機に、Emacsのメンテナーに感謝して、またElispでテキスト処理したり.emacsのカスタマイズに励んだりしてEmacsを使いまくろうと思った。