昨日は毎年参加している将棋大会だった。
昨年はベスト4まで行ったのだが、今年は1回戦敗退だった。
筆者はこの所公私共に多忙で、ほとんど将棋を指していなかったので、予選突破できただけで上出来である。予選敗退した場合の抽選の指導対局に備えて駒落ちの定跡本を携えていたが、出番が無かった。
今年は、予選の2局と決勝の1局全て、筆者が苦手とする角換わりを仕掛けられ、全て棒銀で応対した。予選の2局はデタラメな攻めが都合良く炸裂して、一昨年に優勝し昨年準優勝した強敵(一昨年に1回戦で負けた相手)にも勝って大満足だったのだが、決勝の1回戦は、昨年予選で勝った相手に課題の多い負け方をしてしまった。
図1
図1は角換わり棒銀の定跡である。筆者は角換わりには棒銀と決めているので、この局面には何度か遭遇している。1回戦は先手を持ってこの局面になったのだが、ここから後手は△1九角、▲2七飛、△1七歩成、▲同歩、△1八銀と指してきた(図2)。よくある手らしいが、筆者は初めて見た。
図2
これに普通に▲2六飛と応対し、△2四歩に部分的な定跡通りに▲1二角と打った(図3)。
図3
▲1二角と打つ時、もし△3三桂とされたらどうすれば良いんだろう、と不安に思いながら指したのだが、実際に△3三桂とされ、焦った。その後、自信無く、▲2四飛△2二歩▲1三香成と進めた。
△1九角〜△1八銀が入っていない、図1の形では、△2四同歩に▲1二角△2二金▲3四角成△3三金▲2四馬が定跡である。これだけは覚えていた。
激指14で解析すると、やはり図1からは定跡通り△2四同歩▲1二角△2二金〜▲2四馬が最善であり、▲1二角△3三桂には▲2四飛△2二歩▲2一角成として▲8三香を狙うのが良いらしい。しかし、本局の図3からはそうでなく、
・▲1二角△3三桂▲2四飛△2二歩には▲6八玉が最善(次善は▲4八金と本譜の▲1三香成)
・▲1二角△3三桂▲2四飛に△2二歩でなく△2三歩が最善
・▲1二角では▲2四飛が最善(△2三歩なら▲1四飛で飛車成りが防げない)
だったようだ。前の2つは難しいが、最後のは少し考えたらわかることである。次の△3三桂ばかり気にして、▲1二角以外の手を読まなかったのが失敗だった。
それでも、▲1三香成までにそれほどひどい手はない。▲1三香成の後、△2九銀成▲同飛△3七角成▲4八金△1五馬(図4)と進んだが、ここで絶好の機会を逃した。
図4
香を打ったら馬が死ぬと勘違いして▲1六香と打ったら、△2五馬と寄られて空振りした。
ここでは▲1六銀で馬が死んでいたし、▲2四銀でも△2五馬なら▲3三銀が馬取りでひどいので馬を切る一手だっただろう。
実戦はこの後、お互いに怪しい手が多かったので省略するが、飛車をいじめられ、大悪手を指して挽回不能になってしまった。その攻める手は大悪手とわかっていながら、他に粘る手を全く思い付かなかったのである。激指で解析すると、色々粘る手はあったようだが、どれも筆者には理解できなかった。直接の敗因は▲6八玉を怠って飛車をいじめられたことだが、図4のチャンスを逃したのが運命の分かれ道だったと思う。
△2九銀成〜△3七角成とされる前にどこかで▲4八金と防ぐべきだったかも知れないが、△4五桂の当たりが強くなるので、やるなら△3三桂の前だと思うが、△3三桂の前には別に有効な手があったので、適当なタイミングが無かったと思う。
それより、図2から▲2六飛△3五銀とされた場合にどうすれば良いのかがわからない。感想戦では後手が自信無かったと言っていたが、激指14では△3五銀が最善であり、▲5六飛に△2九銀不成でも△4二金▲2三歩成でも後手やや良しと計算される。図1から▲5六飛まで先手に変化の余地はなく、もしそうなら図1は既に先手がまずいことになる。プロの棋戦には見つからなかったが、プロが図2の△1八銀を見落とすはずがない。プロも激指14も最善としない△1八銀に対策が見つからないとはどういうことなのだろう。
激指14の最善手は、▲2六飛△3五銀▲5六飛△2九銀不成▲4八金△5四桂▲7五歩という難解な手順である。△2九銀不成に▲5三飛成は次善手で、その後△5二金▲5六龍△3七角成▲6八玉△4四桂▲6六龍△1五馬で後手やや良しだそうだが、アマチュアとしては駒損でも龍ができて気持ちが楽になるので、これを選択すべきか。
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