Windows XPでのかな入力のトラブル記

今年の春、会社で異動になり、転勤先で新しいパソコンを買ってもらった。仕事柄、メールをよく打つようになった。秋には仕事にも慣れてきて、横の席の人がメールを打っている音が耳に入ってくるようになった。すごい速さでキーボードをヒットしている。画面上に日本語が何文字か増える間にも、やたらキーボードを叩いている気がした。
すると、自分のタイピングも気になり出した。何せローマ字入力は指が完全に覚えているし、文字数に対して打鍵数が多い。「させて頂きます」は"SASETEITADAKIMASU"、「申し訳ございません」は"MOUSIWAKEGOZAIMASENN"、「よろしくお願い致します」は"YOROSHIKUONEGAIITASHIMASU"である。我ながらよくこんなにたくさんキーを打ってるものだ、と思った。1つのメールを書く間の打鍵量は、数えてみたらすごいことになるのではないか。
そんなことを意識すると、キーボードのJIS配列のかなキーに目の焦点が合うようになってきた。9割以上の人がローマ字入力で日本語を打つこの時代に、まだあったのか。

よく見ると、我が家のパソコンのキーボードにも、アルファベットキーや数字キーを中心に、キーの1つ1つにひらがなが刻印されている。数字キーには「ぬふあうえおやゆよわ」、アルファベットキーの1段目はUキーから左に読んでいくと「なんかすいてた」である。

20年以上前に買ったMSX2パソコンにも、JIS配列が書かれていた。「12345」が「アイウエオ」、「QWERT」が「カキクケコ」であるアイウエオ配列も書かれていたので、JIS配列で打つ訳が無かった。
大学で触ったパソコンには、ローマ字かな入力があり、実質それが標準だったので、私もローマ字入力で日本語を打ち始めた。同時に電子メールも使い始めたので、指が完全にローマ字入力になった。
以後、キーボードにJIS配列の刻印があっても、まず意識することは無かった。


1日の日本語入力量が増えて、ますますキーボードのひらがなの刻印にピントが合うことが増えた。子音、母音、子音、母音、子音、子音、母音、子音、子音、子音、母音。日本語入力中もローマ字入力のために頭の中はアルファベットが流れ続けている。指が押し続けているアルファベットにはひらがなが書いてある。

私には、かな入力を試さないことは不可能だった。


家で練習を始めてから1ヶ月ちょっと経ったが、時間に余裕がある時に会社でかな入力を試し始めると、やはり打つのに時間がかかる。指が配列を十分に覚えていないことも、英数字や記号を打つのが面倒なのも要因だが、致命的な問題が、時々勝手にかな入力モードから英数入力モードに切り替わってしまうことだ。
会社で使っているパソコンはWindows XPで、日本語入力に関しては何も設定を変更していない。ALT+ひらがなキーを押してローマ字入力とかな入力を切り替えているだけである。それでいて、漢字変換しながらひらがなを入力し続けているだけで、ふと画面を見ると「スケジュール4a30p」と表示されていたりする。間違って英数入力モードに切り替えてしまったのかと思って、反射的に「半角・全角/漢字」を押してもう一度「うちあわせ」と打ち込むと、画面には「4a30p」と出る。
突然かな入力モードから全角の英数入力モードに切り替わるのである。しかも、言語バーの表示は「A」ではなく「あ」のままなので、いつ英数入力モードに切り替わったのかは打ってみないとわからない。よく起こる時は1分に1回くらい起こる。何度も何度もそんなことが起こると、時間のロスになるだけでなく、平常心を保てなくなる。使い物にならない。

1つのパターンとして、Internet Explorerの入力フォームで、かな入力して、スペースを何度か叩いて漢字変換の候補枠を出して、カタカナを選んで確定して、数字キーに割り当たっているひらがなを打ち込もうとすると、100%の確率で発生することが判った。「スケジュール」を候補窓で確定して入力し、「う」キーを押すと全角英数に切り替わってしまうのだ。これを防ぐ方法は、候補窓でカタカナを確定した後は「半角・全角/漢字」を2回押してリセットすることしか見つけていない。しかも、この現象が起こるのはその手順だけではない。
不思議なことに、ほとんど同じ状況を家のPCで再現しても、家のPCでは全く起こらない。OSはどちらもWindows XP、日本語入力FEPはどちらもデフォルトのMS-IMEである。

Webで調べ回った限りでは、正確な原因には辿り着けなかったが、同様の症状に遭った人は少なからず居るようで、MS-IMEのバグというのが定説のようであり、確実にこれを回避する方法はただ1つ、コントロールパネルの「地域と言語のオプション」で「詳細なテキスト サービスをオフにする」を有効にすることなのだそうである。

確かに、その設定をすることにより、上記の問題は全く起こらなくなった。しかし、この設定をすると、言語バーが貧弱になり、半透明にならなくなったり、タスクバーに入れても出しても見えなくなったりして、とても悲しくなる。なんともはや、という感じである。JIS配列は至る所のキーボードに刻印されていても、既に見捨てられているのだろうか。

参考:http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2ktips/630ctfmon/ctfmon.html
本件のバグに関する直接的な記述は無いが、色々バグがあるようだ。