10年くらい昔の話だが、漫画「月下の棋士」で、プロ棋士が一手詰みに気付かず負けるという話がある。
そんなことあり得ないだろう、と思っていたが、その後、なんとあの羽生さんが一手詰みを見落としてトン死したというニュースが流れた。前代未聞のその事件を、よりによって羽生さんが起こすとは、不思議なものである。
今日、その羽生さんが一手詰みを食らった棋譜を手に入れた。
その対局は2001年の第14期竜王戦の挑戦者決定戦第1局、相手は木村一基7段。
観戦記者によると、詰みの瞬間、羽生さんの顔が一気に紅潮し、その後すぐに青ざめたという。
並べてみると、6五に居た王様が5六銀と王手されて、難なく6四に逃げて入玉はほぼ確定と思われた瞬間に6五飛打ちまで。敵陣には7二歩、6二桂、4四銀があり、よく見ると詰み、という感じである。経験と勘で指してると気付かない。羽生さんも人間で、一手一手マス目単位で詰みを確認してるわけでは無いということだろう。(緻密流の佐藤康光さんはしてるのだろうか?)
6四以外に逃げれば詰みは無く、羽生さん必勝だった。
ショッキングな敗北を喫した羽生さんは、その後は2連勝して無事に竜王挑戦権を得たらしい。
一手詰み見落としは、プロにとってそれほど尾を引くようなことではないということか。
他にプロの一手詰み見落としの記録を探したら、郷田さんも一度やらかしたらしい。(記事はこちら)
1998年の第46期王座戦の挑戦者決定戦、相手は谷川さん。これまた大舞台でだ。
この棋譜も入手したが、こちらは混乱したっぽいつまらない見落としだ。アマチュアでも簡単な詰みは第6感が教えてくれるものだが、極限状態だと、プロでもその第6感が働かなくなってしまうのだろうか。
ynomura
…と偉そうに書いてたら、昨日、自称3段の私が、ネット将棋で1手詰めを食らってしまった。
将棋倶楽部24の早指し、30秒切れ負けの将棋で、圧倒的優勢だった終盤に、指そうと思った手を再確認してたら、その手では自分がトン死することに27秒目で気付いて、慌てて別の手を探そうとしたら全く頭が回らなくて、適当な手を指したら、自陣の詰みを消してた大駒の利きが止まってしまい、見事に丁度1手詰めの盤面になった。
詰まない状態から、自玉を最短手数で殺してしまったことに、他人事のように大笑いしてしまった。
切れ負けは苦手だ・・・