Roland HP-145の鍵を修理した

先週、我が家の電子ピアノ、Roland HP-145の3つの鍵(C5, C♯5, D5)が下がりっ放しで戻らなくなった。鍵を押すとクッションに当たるのでなく、ガチ、ガチと硬い物に当たる音がして、スピーカーからは通常より小さな音しか出なくなった。

現象が発生した瞬間は見ていないので、直接の原因はわからない。
この電子ピアノは買って21年が経過したが、のべ1,000時間くらいしか使っていない。これの10倍使われた同型機は沢山あると思う。それに、筆者は打鍵圧がかなり弱い(最初にキーがめちゃくちゃ軽いキーボードを使って練習したので、アップライトピアノを弾くとほとんど音が出ないくらいである)。購入後に7回の引っ越しを経たことはあるが、この使い方で何かが折れたり割れたりするとは思えなかった。それに、同時に3つの鍵がおかしくなったので、異物が挟まったのだろうかと思った。

もう古いので、新しい物に買い換えようかとも思ったが、何よりも、まず捨てるのが面倒で億劫である。しかし、そのままだと鍵の位置的に使い物にならない。古すぎて、お金を払って修理してもらう気にはなれない。

Rolandの電子ピアノの鍵を自力で修理したという話は、探せばいくつも見つかったし、大抵の人は簡単に分解したようだったので、やってみることにした。
分解のやり方がなかなかわからず、思いの外時間がかかったが、結果として、ドライバー1本で、5分もあれば分解できることがわかった。
またやるかも知れないので、鍵を修理する為の分解方法をここに控えておく。
  1. 天板を開ける
    天面の2つのネジと背面の上部の4つのネジを外して、天板を手前に少しずらすと、外れる。

  2. スライド蓋を外す
    スライド蓋のレールの途中にある、歯車の出入り口(【写真1】、左右両方)と、天面を支える金具(【写真2】、片方でOK)を外すと、スライド蓋を外すことができる。
    【写真1】
    【写真2】

  3. 鍵の上のクッション付きの横棒を外す
    左右それぞれ、1つは上から、1つは下からの2つのネジ(【写真3】)を外す。
    【写真3】

  4. 問題の鍵を外す
    鍵の上部のU字部分(【写真4】)を少し広げると外せる。(ただ、折れそうで、かなり恐い。)
    外すと、ハンマーのような部品が見える。
    【写真4】

鍵を外すと、C♯5の黒鍵のハンマー部品が折れており(【写真5】)、先端の部分が3つの鍵の下に跨るように落ちていた。
【写真5】
折れたハンマー部品を取り除き、多くの人がやっているように、最も使わなさそうな左端の黒鍵(A♯0)のハンマー部品を移植すると、直った。


【写真5】ではわかりにくいが、折れたハンマー部品のプラスチック部分は所々がひび割れしていた。今回折れたのも折れたというより複数のひびが繋がって割れたような感じで、時間をかけて少しずつ壊れたんだろうなと思った。他の鍵はよく見ていないが、きっと同じような感じで、これから次々に折れていくのだろう。

RolandのWebページ

Q: 修理対応可能年数を教えてください。
A: 最低補修期間は、製造完了後6年~8年を目安としています。

と書かれているので、元々設計上の耐用年数として10年も持てば十分という想定なのだろうか。

たまたま音楽とは関係なく仕事で付き合いのあった、ジャズピアニストのJun Kanekoさんという方に勧めて頂いて以来、Roland以外の電子ピアノを買う気がしないのだが、10年で壊れるのでは考え物である。

...と思ったが、調べてみるとどこのメーカーの電子ピアノも寿命は10年くらいらしいし、電気製品として考えると冷蔵庫ですら10年くらいで買い換えるものなので、そんなものなのか。