筆者は石田流が苦手である。後手になって、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩とされると、これは大変なことになったな、と思ってしまう。同じぐらいの実力(アマ三段程度)同士だと、石田流にされると3局に2局は負けてると思う。
先週は将棋大会があり、石田流対策としては、▲7六歩△3四歩▲7五歩には△4二玉、下図の局面から仕掛けるなら△9二飛▲8五桂△8二飛▲8六歩△8四飛、の2つだけを覚えて臨んだら、予選の1局目から▲7六歩△3四歩▲7五歩とされ、次の図の局面を迎えてしまった。
このような局面から△9二飛▲8五桂△8二飛▲8六歩△8四飛と飛車を端に振ってすぐ戻して浮くのは、過去に何かの本で読んだもので、多分定跡だと思う。もし△9二飛▲8五桂△8二飛の次に▲8六飛とされたらどうすればいいんだろう、と不安に思っていたが、他に何も思い付かなかったので、定跡と信じて△9二飛、▲8五桂、△8二飛と手早く指した。
すると、ノータイムで実際に▲8六飛とされてしまい、長考に沈んでしまった。
後で調べると、ここまでは2004年のNHK杯の三浦−行方戦と全く同じ進行であり、その対局ではやはり▲8六歩と指されていた。他にも部分的に同じ形から△9二飛▲8五桂△8二飛としたプロの棋譜を4つぐらい見つけたが、次の手は全て▲8六歩△8四飛だったし、激指14で分析しても▲8六飛は評価が低いので、良くない手なのだと思うが、これの咎め方がよくわからない。
次に何をやっても▲7三桂成がある。それには△8六飛(次図)とする一手だが、▲同角でも△7三桂の後に先攻されてすぐ桂損を回復されるし、▲6三成桂と踏み込まれる手も気になる。
筆者の実戦は、▲8六飛の後、△7四歩▲7三桂成△8六飛▲同角△7三桂▲7四歩△同銀▲7一飛(次図)と先着され、△6二金と受けたら▲9一飛成から大暴れされ、なす術無く、十数手後には激指の先手の評価値が+1000という必敗の形勢になってしまった。
激指によると、△6二金が悪手で、ここまで来たら桂取りが銀取りにならないように△6三銀と戻るのが良いらしいが、そこまで後手を引いて駒損を回復されて龍まで作られてしまうのでは、何をやってるのかわからないと思う。
ただ、△7四歩では△6五歩の方が良さそうである。▲7三桂成と歩を取られるのなら逃げておこうと思って△7四歩と避けたのだが、△7三桂と取り返した後に▲7四歩と取る手が桂取りの先手になるし、△7四歩が無くても△7三桂には▲7四歩と突き出す所なので、意味が無かった。▲8六飛の後、△6五歩▲7三桂成△8六飛▲同角△7三桂▲7四歩△同銀▲7一飛△5五角というのが激指の推奨手順である。
激指はこれで-400(後手少しリード)くらいの評価を示しているが、筆者にはこれで後手が指せる理由がわからない。次に△3六桂とやっても▲3九玉と引かれるので攻め方がわからないし、やはり▲9一飛成から暴れられて、筆者の実力ではその勢いを止められないように思う。
ただ、もし△5五角に▲5六歩とされれば、△3六桂で一気に後手勝勢になりそうである。△3六桂に▲3九玉だと△6六角が王手で危険なので▲1七玉しか無いが、△1五歩とすれば受けが難しいと思う。
▲5五歩なら△1六歩▲2六玉△2八桂成である。
こうなることを期待して、▲8六飛には△6五歩とするべきなのだろうか。
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